書留の補償は実損とあるけど『実損』ってなに?書留の損害賠償の範囲と額はいくら?
書留やゆうパック、EMSに代表されるサービスには金額に違いがあれど補償がついています。万一の事があった場合に実損で補償されます。
実際の損害
ではこの『実損』とはどのようなことを指すのかをみていきましょう
郵便料金表にあった記載をみてみると
実損額とは、郵便物の内容品に生じたと認定される実際の損害額のことです
遅延などによる二次的な損害は損害賠償の対象にはなりません(ちなみに再発行等のために支払う交通費なども対象から外れます)
約款には
実損額:差出地におけるその内容品の市場価格を基準とします
このように記載されています。
二次的な損害は対象外
auの大規模通信障害があったとき「(携帯が使えなくて)仕事が滞った。それで被った分を賠償してほしい」なんて声もありました。
結局は利用者へ200円返金のみになりましたが、これは妥当な対応であったと言っていいでしょう。
二次的な損害まで対象にしてしまうと、とめどなく賠償の対象が広がり、キリが無くなってしまいます。因果関係の調査・損害の査定も大変ですからね。
これは郵便の話でも同じで、わざわざ『二次的な損害は損害賠償の対象にはなりません』と断り書きしているのもそのためです。
定義を知らないと
クレジットカードを例に挙げて説明すると
例)書留郵便でクレジットカードを送ったが、配達員が紛失してしまった。そのクレジットカードは悪者が拾ってしまい10万円も勝手に使いこまれた
この例でいくと勝手に悪者に使いこまれた10万円は損害賠償の対象にはなりません。
クレジットカードそのものの価値はあくまで
“プラスティックのカード”
としての価値しかないからです。
つまりこの場合の補てんはクレジットカードの再発行費用に限られます。(付け加えていうと10万円勝手に使いこまれたのは二次的な損害でしかありません)
ちなみに勝手に使いこまれた10万円を何とかしようと思うならクレジットカード会社とのやりとり(免責事項と照らし合わせながら)で解決していくことになります。
書留の損害賠償の対象と額はいくら?
通常郵便物には補償は付きませんが、オプションとして書留を付けると内容品が郵送中に破損であったり亡失となると損害賠償の対象になります。
詳しく書留についての損害賠償についてみていきましょう。
一般書留
損害賠償額は10万円を限度とする実損額です。
もしそれ以上の損害賠償額で設定したい場合は、必ず郵便窓口で申告してください(追加料金が発生します)。500万円までを上限として設定できます。
※現金書留の限度額は50万円まで。申出がない場合は1万円です。
簡易書留
損害賠償額は5万円を限度とする実損額です。
損害賠償の範囲
■一般書留郵便物を全部を亡失したとき
⇒申出のあった額
ここでの範囲は・・・
全てを亡失、例えば配達途中で郵便物をなくしてしまったときです。
■一般書留郵便物物の全部若しくは一部をき損し、又はその一部を亡失したとき
⇒申出のあった額を限度とする実損額
ここでの範囲は・・・
内容品の一部をなくしてしまったり、壊してしまったときです。
■簡易書留郵便物の全部又は一部を亡失し、又はき損したとき
⇒5万円を限度とする実損額
ここでの範囲は・・・
一部でも全部でも内容品がなくなってしまったり、壊れてしまったときです。
このように書留郵便物をなくしてしまったり、内容品が郵送途中で破損したりした場合に損害賠償の対象になります。
また郵便局に故意や重大な過失があった場合も損害賠償の対象となります。
一般書留郵便物・簡易書留郵便物:郵便業務従事者の故意又は重大な過失により、その郵便物に係る郵便の役務をその本旨に従って提供せず、又は提供することができなかったとき(郵便約款第157条の2)
郵便局側は引き受けた郵便物に対して適切な注意を払わなければならず、故意や重大な過失があった場合には、その責任を負うことになります。
そして、その責任として、郵便物の本来の目的に沿った提供を行うことが求められるのです。
本来であれば書留郵便物が延着しても損害賠償はありませんが、それが意図的にまたは重大な過ちによって延着した場合は損害賠償の対象となります。
合わせて読む