「表慶館」近代洋風建築シリーズ第一集切手 東京国立博物館で一番大きな重要文化財
◆近代洋風建築シリーズ切手第一集「表慶館」
基本データ
・凹版 グラビア併用五色
・原画制作者 西洋画家 近岡善次郎
1981年8月22日に近代洋風建築シリーズの第一集のひとつとして発行された切手です。
このシリーズ切手は、日本の洋風建築で国宝・重要文化財に指定された建物から専門家の意見を参考にして選び出されました。
1981年から84年にかけて全20種発行されています。
展示施設が重文に
日本の博物館の中心的存在である東京国立博物館は国宝・重要文化財をはじめ数多くの文化財を所蔵し展示しています。
実は文化財だけでなく展示施設である本館と今回ご紹介している表慶館が、それぞれ重要文化財として選ばれています。※本館は2001年、表慶館は1978年
ご成婚の慶びを表す館
表慶館は東京国立博物館の正門を入ると斜め左側にあり、切手のデザインにあるように緑青色の美しいドームが特徴的な建物です。
1900年(明治33年)皇太子明宮嘉仁親王(後の大正天皇)のご成婚の記念に建てられた煉瓦造りの建物で外壁に花崗岩が貼り付けられています。
設計はジョサイア・コンドルの弟子である宮廷建築家の片山東熊という人物。
代表作である赤坂迎賓館の設計も手がけた人で、建築様式はその赤坂迎賓館と同じネオ・バロック様式が採用されています。
建築様式がネオ・バロックだけに壮麗で二階上部の壁面に楽器や大工道具などの浮き彫りやピラスターを施したりと装飾も豊富です。
しかし同じ様式の建物であるパリ・オペラ座などに比べると簡素で落ち着いた印象を受けます。
大震災
師であるコンドルは旧本館を設計したということもあり、一時期は師弟の建物が並んで建っていました。師匠は弟子の建てた表慶館をどのように思っていたのでしょうね。
お師匠さんの担当した旧本館は残念ながら関東大震災により損壊し(中央玄関部分の損傷がひどかった)、のちに建て直されます。
しかし表慶館はほぼ無傷で乗り切っています。念入りにされた基礎工事と地震波の伝わり方が建築位置に対して有利に働いた結果とされています。新館ができるまでの約15年間は唯一の展示施設をして活躍をしています。
外観と内部
両端は中央ドームの約1/2の高さ
外観は左右対称で大ドームを持つ中央部を中心として左右に延びる翼廊があり、両端部には小ドームを付けている円形の階段室があります。
内部は曲線を基調とした配置の造りになっています。
中央ホールは床のモザイクタイルが彩りよく飾られています。そこから目線を上げると中央のドームまで吹き抜けになっていて、ドーム天井には女性像などの天井画が描かれています。
この天井画は絵に影が付けられ立体的に見えるように工夫されています。
内部の装飾も細かいところまで手抜かりなく施されているようです。
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